~生き方を「設計」するという考え方~

私は友達や相談者様に「ライフデザインから考えてみない?」とよく話していますが、それには理由があります。
まずはその理由の前に、よく混同されがちな「ライフデザイン」と「ライフプラン」についてお伝えできればと思います。
名前が似ているので「結局どっちも同じでしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、実はちょっと違うんです。
一般的な考え方とその落とし穴
「ライフプラン」と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのはお金の計画です。住宅ローンや教育資金、老後資金をどうやって準備するか、といういわゆる家計のシミュレーションですね。ファイナンシャルプランナーがよく提案しているものです。
もちろんこれは大切なのですが、ここだけに偏ってしまうと「数字合わせの人生」になりやすいのも事実です。例えば、家計簿の数字を合わせることばかりに必死になって「本当は旅行に行きたいのに我慢ばかり」という生活になってしまったら、本末転倒ですよね。お金は人生を支える道具なのに、逆にお金のために人生を縛られてしまうケースも多くないのです。
ライフデザインという視点
一方で「ライフデザイン」という言葉は、もう少し広い意味を持っています。これは簡単にいうと「自分の生き方や人生の形を、自分でデザインしていこう」という考え方です。
例えば、
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どんな働き方をしたいか
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どこで暮らしたいか
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誰と時間を過ごしたいか
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どんな瞬間に幸せを感じるか
こうしたことを考えるのがライフデザインです。
たとえば「週末はカフェ巡りや趣味に時間とお金を使いたい」とか、「子育ての時期は収入よりも家族との時間を優先したい」とか。
ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、要するに「自分にとって心地いい暮らし方って何だろう?」という問いかけなんです。
よくあるアドバイスの問題点
よく「老後資金は2000万円必要」とか「持ち家か賃貸か、正解は〇〇!」といった話がありますよね。でも冷静に考えると、人によって答えは全然違います。
例えば「老後2000万円問題」という言葉を聞いて、何となく不安になって積立投資を始める。でも、実際には自分がどんな老後を送りたいのか、どれくらいのお金が必要なのかを考えていない。
「老後は都会で暮らしたい人」と「田舎で畑をしながら暮らしたい人」では、必要な資金は全く違いますよね。にもかかわらず“2000万円”という一律の数字だけを信じてしまうと、現実と合わなくて「あれ、なんか違う…」となってしまうんです。
とはいえ、計画も大事
とはいえ、ライフデザインだけで終わると「夢を描いて終わり」になってしまいます。理想を考えるのは楽しいですが、それを実現するためには現実的な数字、つまりライフプランも必要です。
例えば、
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「旅行を年1回したい」なら、その費用を月々いくら積み立てればいいのか
- 「40代からはフルタイムをやめて週3日勤務にしたい」なら、生活費をどこまで下げられるのか
こうした計算をしてみると、「理想の暮らしに必要なお金」が数字として見えてきます。
「旅行に行きたい」という希望も、毎月5,000円ずつ積み立てれば年に1回は旅行に行けるかもしれません。こうした具体的な計画にしていくと、夢がただの“絵に描いた餅”で終わらず、ちゃんと現実に近づいていくんです。
数字は“怖い壁”ではなく、暮らしを支える道具だと考えるのがポイントです。
まとめ:数字よりも「自分らしさ」から始めよう
ライフプランを立てる前に「どんな人生をデザインしたいか」を考えることが大切です。先に数字を決めるのではなく、自分が大事にしたい価値観や理想の暮らしを描いてみる。
そして、そのイメージに必要な資源(お金・時間・スキル)を現実に落とし込んでいく。そうすれば、ただ不安に追われて数字を埋めるだけの計画ではなく、「自分の人生を支えるプラン」になります。
ちょっと肩の力を抜いて、「家計簿とにらめっこする」よりも、「心地よい日常をどう設計するか」を考えることから始めてみるのはどうでしょうか。
※本コンテンツは、一般的な情報提供を目的としています。
具体的な判断や行動は、ご自身の状況や目的に合わせて、必要に応じて専門家へご相談ください。